食べ物商売をしていてもっとも注意しなければならないものの一つに食中毒があります。
加盟している飲食組合が主催する講習会に毎年参加していて毎回ゾッとしていやーな気分になって帰ってきます。カンピロバクターに黄色ブドウ球菌、アニサキス。いろいろありますが、中でもノロウィルス。
これ、年々感染者が増加の一途をたどり、あれよあれよという間に食中毒の原因のトップクラス(全食中毒の3割)にまでなってしまいました。
今回はこのノロウィルスについてちょっと書いてみようと思います。食中毒のときの症状や原因食品、二次感染の予防方法などを確認の意味も込めて調べてみました。
よろしければお付き合いください。
ノロウィルスはかかると大変
ノロウィルスは冬に猛威を振るう
多くの人が「食中毒は梅雨から夏にかけて」と思ってるかもしれません。
それも間違いではありませんが、ことこのノロウィルスにおいては夏場より冬場のほうが流行するんですよね。
抵抗力の弱い小さなお子さんや高齢者は特に気を付けてもらいたいところ。
ノロウィルスとは?
では、まず「ノロウィルスとは何?どういったものなの?」からみていきましょう。
学術的なことはウィキペディア等にお任せするとして(笑)ノロウィルスはその名の通りウィルスの一種。小さな球形をしたウィルスで秋口から春先まで起こる食中毒の主たる原因物質です。
人以外の生物や食物中では増殖しないのが特徴。
やっかいなやつですゎ。
ノロウィルスに感染しても発症しないことや熱も37~38℃くらいの微熱で治まることがほとんどなので風邪と間違えてしまうなんてこともあり。
代表的な食べ物は?
ノロウイルスによる食中毒でその原因食品に特定された事例は約20%しかなく、多くの事例で原因となる食品が明らかになっていません。
原因食品が特定されたものでは、カキ(生カキ・カキフライなど)が多く全体の約1割強。また、カキ以外の貝類(シジミ、アサリ、ハマグリ、ホタテなど)が原因となることからこれらを食べるときには加熱不足にならないよう注意が必要。井戸水や簡易水道などが汚染されていたという事例もあるので得体のしれない(?)水は飲んじゃダメ。
感染経路は?
ほとんどが経口感染(経口感染とは人の口から体内に入り込む感染のこと)。
主な感染経路は下記の4つ
・ウィルスに汚染された貝類(主に二枚貝)を加熱不十分で食べる
・患者のふん便や嘔吐物からの二次感染
・家や施設内などでの飛沫(ひまつ・しぶき)による感染
・感染した人が調理をして汚染された食品から
家での感染経路は主に食べ物。上記でも書きましたが、貝類は十分加熱して食べるようにしてください。
加熱時間の目安としては
中心部を85度で1分から1分半
たとえば牡蠣鍋。グツグツと沸騰した鍋に入れてしばらく待ってお箸で牡蠣を持ったとき、身が十分に硬く感じるくらいかな(・・・うまいまずいは別として)。
どのような症状?
人の腸内で増殖し24~48時間の潜伏期間(感染から発症までの時間)があったのち吐き気、嘔吐(おうと)、下痢、腹痛を引き起こします。
症状は通常1日か2日で改善に向かいますが、免疫力の低下した老人や乳幼児は激しい嘔吐や下痢による脱水症状や嘔吐したものを誤って吸い込んでしまい肺炎や窒息などが起こる場合もありますのでなるべく目を離さないよう十分な注意が必要です。
かかってしまったら?
当たり前ですが、横になり安静にしていましょう。無理をして仕事や学校に行くなんてもってのほか。
インフルエンザもそうですがノロウィルスも、周りにいる人に感染するリスクがありますから家にいるようにしましょう。
体調が悪いときは頑張り過ぎないってこと。
場合によっては嘔吐や下痢が続き、脱水症状になる恐れがあります。そのときは少しずつ水分補給をするようにして、あまりひどいようなら病院で点滴を打ってもらうなどの治療をしてもらったほうがいいです。
なお、下痢がひどいからといって下痢止めの薬を飲んでしまうと腸内にウィルスが居続ける確率が高く、一向に症状がよくならないので私はおすすめしません。
つらいですが頑張って出しちゃいましょう。
あと、家族がノロウィルスにかかってしまい、嘔吐や下痢の症状があった場合は二次感染に注意してください。
感染を広げないために
ノロウィルスが発症すると、ひどい下痢と嘔吐に見舞われます。それも突発的に起こることがあり、トイレに間に合わず・・・なんてことがあります。
このときに処理の方法を間違えてしまうと家族までノロウィルスに感染してしまいます。二次感染を起こさないためにも下記を参考の上、注意して対処してください。
用意するもの
- マスク
- 手袋
- ペーパータオル
- ペットボトル
- 塩素消毒液
塩素消毒液は次亜塩素酸ナトリウムを1000ppmの濃度まで水で薄めたもの。
希釈率はものによって変わってきますが、市販のものは次亜塩素酸ナトリウムの濃度がだいたい5%。それを下記の要領で薄めて使います。
塩素消毒液の作り方
500mlのペットボトルの中に10ml(ペットボトルのキャップ約2杯)の原液と水をいっぱい入れると、次亜塩素酸ナトリウムの濃度が1000ppm(0.1%)の塩素消毒液ができます。詳しくは利用するものの希釈率をよく見て作ってください。
で、これを使って処理することになりますが、次亜塩素酸ナトリウムは薄めても大変刺激が強いので、手などに直接触れないように気を付けてくださいね。
漂白や除菌にめちゃくちゃ有効なので、もしご自宅にないなら一本ストックしておいてもいいと思いますよ。キッチンハイターとか。
処理の仕方
まず、マスクと手袋を着用しペーパータオルを使って静かに汚物をふき取り塩素消毒液でそのあとを消毒します。消毒後、水拭きをしてください。
処理した汚物と使用済みのマスクや手袋などはビニール袋に入れ、塩素消毒液を振りかけたのち静かに密封して廃棄。終わったらしっかりと手を洗ってください。
予防のすすめ
一番は手洗い。ノロウィルスは腸内でしか増殖しないので「感染しない・させない」が大事。そのためには手洗いが重要になってきます。手を洗うタイミングはいろいろありますが、私は今までと違う作業をしたときは手を洗うようにしています。
家ではここまで徹底して手洗いをすることはないでしょうが(苦笑)参考までにどうぞ。詳しくはこちらの記事でも解説していますのでどうぞ。
あとがき
調理に携わる人間として、食品の衛生管理はもちろんのこと、手洗いの徹底は常に必要なんですよね。やれることをしっかりとやる、です。そうすればリスクは軽減できますから。
年末年始はいろいろと外で食事する機会も多いかと思います。必要以上に怖がることはないですが、知識のひとつとして頭の片隅にでも留めておいてもらえたら、と思います(^-^)